「石けん運動」から「エコキッチン革命」へ。時代の変化に寄り添った石けん推進活動
「石けん」は5,000年前から使われる洗浄剤ですが、手洗い以外で使用する際はコツがいります(パックスナチュロン「石けん洗濯」より)。それに比べると便利なのは「合成洗剤」です。
石けん運動ネットワークリーフレットによると、第一次世界大戦で石けん原料の天然油脂が不足し、石油精製時に出る廃棄物でつくったものがその始まりだったそうです。合成洗剤は分解に時間がかかり環境負荷が大きく、石けんは分解されやすく環境に優しい洗浄剤とされています。
1970年代に滋賀で行われた「石けん運動」は、琵琶湖のために石けんを使おうという啓発運動。湿疹やおむつかぶれの原因が合成洗剤かもしれないという疑念に加え、1977年に発生した淡水赤潮の原因が合成洗剤に含まれるリンだと判明し、運動は拡大していったそうです。
1978年結成の「びわ湖を守る粉石けん使用推進県民運動 県連絡会議」(後のびわ湖会議)が行政に対策を強く訴え、1980年7月に「滋賀県琵琶湖の富栄養化の防止に関する条例(富栄養化防止条例)」(通称:琵琶湖条例)が成立。リンを含む合成洗剤の販売・使用・贈答が禁止され、工場排水も規制されました。滋賀県の世論調査結果によると、条例施行後は粉せっけんの利用率が大幅に増えたそうです。
「石けん運動」に対し、日本石鹸洗剤工業会は、合成洗剤が琵琶湖に与える影響は10%程度と反論。それ以上のリンを含む農業肥料や生活排水の問題解決を県知事に訴えました。しかし、合成洗剤が環境に負荷をかけているのも事実と受け止め、「無リン合成洗剤」の製造を1982年には6割、1984年には9割にまで拡大。その普及により1975年は71%あった石けんの利用率は、1988年になると31%になったそうです(せっけん運動ネットワークより)。
時代による社会変化や技術向上もあり、2000年のびわこ会議で今の環境問題解決には水環境だけでは不十分と石けん運動に代わるテーマを提唱。石けんも洗剤も適正に利用し、省エネ・省資源・ごみ対策を行う「エコキッチン革命」という新しい運動方針が打ち出されました。
2008年にびわこ会議は解散しましたが、石けん運動はNPO団体「碧い琵琶湖」が引き継ぎ、1981年設立の協同組合「せっけん運動連絡会」はせっけん運動ネットワークに名称を変更し、全国で活動を継続しているそうです。
京都の海のまちに生まれ、大学で千葉へ。一度は都内で就職するも、結婚を機に滋賀に住むことになりました。現在は彦根で一男一女を育児中。ママコーラス副代表など、新しいことにチャレンジしています。
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