京都復興の支えに琵琶湖あり?「琵琶湖疎水」
(画像:琵琶湖疎水)
117本の一級河川が流れ込む琵琶湖ですが、流れ出すのは、琵琶湖の南から淀川を通り大阪湾につながる自然の川「瀬田川」と、浜大津付近から長等山を通り、蹴上・南禅寺に延びる人工の水路「琵琶湖疎水」だけです。
琵琶湖疎水の建設
琵琶湖疎水には1890年に完成した第一疎水と、1912年に完成した第二疎水の2本がありますが、第二疎水は全線トンネルとなっているため、人々の目に触れることはなく、「琵琶湖疎水」と言えば第一疎水を思い浮かべる人がほとんどのようです。
第一疎水は明治維新後、東京遷都により産業が衰退し、人口も減少してしまった京都振興のために琵琶湖の水を利用しようと計画されたそうです。
日本初の水力発電を利用した「電気事業」、石や木材、米などの物資輸送および観光船の運行を行う「運河事業」、歴史的な建造物の防火、公園などへ引水する「水力事業」の3つを目的としています。
第二疎水は、電力需要が増えたことや、地下水の飲料水利用に質・量ともに問題がでたことから計画されました。供給電力が増えたことで京都市内には電灯が普及し、市電の路線拡大につながったでそうです。
京都市上下水道のホームページによると、琵琶湖第一疎水の工事は約5年もの歳月がかかり、大津~鴨川及び疏水分線には当時125万円、現在の貨幣価値でおよそ74億円(日本円貨幣価値計算機)もの費用が必要だったそうです。
第一疎水には4つのトンネルがあり、中でも難工事だったのが最長2,436mの長等山を通る第1トンネルで、地盤の固さや大量の湧き水などに苦労したそうです。
山の上から垂直に穴をあけトンネルの中央部からも掘り進める「竪杭(たてこう)」という工法が日本で初めて採用され、現在も2か所の竪杭跡が残っています。
第1トンネルの東側にある鉄扉は水位調整のために設置されたものの、実際に閉められたことはないそうです。
琵琶湖と鴨川を繋げる「蹴上インクライン」
(画像:蹴上インクライン)
琵琶湖から流れ出た水が疎水を通り、蹴上から鴨川につながる所には水路落差がありインクライン(傾斜鉄道)が敷かれました。京都観光Naviによると蹴上インクラインは581.8mもあり世界最長だそうです。昭和15年頃に休止したそうですが形態保存され、観光地として多くの人が訪れる場所となっています。
舟運の復活
びわ湖疎水船によると1895年には旅客船を年間30万人が利用し、1925年には年間22万tもの資材が運搬された琵琶湖疎水の舟運ですが、自動車や鉄道などの交通網が発達したことで、1951年9月に大津から山科に4.5tの砂を運んだのを最後に終了しています。
しかし、復活の要望が多く、2013年 大津市・京都市の両市長による船下り試乗会を皮切りに、2014年に「琵琶湖疏水船下り実行委員会」が発足。さらに2015年春に大津市~京都市・蹴上の約7.8kmで「琵琶湖疏水通船復活」試行事業が行われ、2018年春から本格的に運航が始まりました。
2020年春は3艘の疎水船によって3月28日~6月28日の運航が予定され、舟から疎水に咲き誇る桜を楽しめるそうです。乗船予約はびわ湖疎水船ホームページから申し込むことができます。
京都の海のまちに生まれ、大学で千葉へ。一度は都内で就職するも、結婚を機に滋賀に住むことになりました。現在は彦根で一男一女を育児中。ママコーラス副代表など、新しいことにチャレンジしています。
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